2007年08月18日
横浜ローザ~五大路子
父も母も見たことがあると言う。
白ずくめのドレス、真っ白の顔、
異様に黒いアイシャドーの老婆。
馬車道とか元町とか山手とか、
そのあたりをうろついていると、
この異様な風体の老婆に出会ったと言う。
老婆の名は、
『横浜ローザ』、『ハマのメリーさん』、
『メリケンローズ』……いくつもあった。
だけど、老婆の本当の名前を誰も知らない。
そして、異様な厚化粧の下の彼女の素顔を知る者もいない。
彼女は、ラストサムライならぬ、
ラストパンパン。
パンパンと言う言葉そのものを知らぬ人も多いだろう。
パンパンとは、終戦間もない頃の日本で、
米軍の軍人相手に春を鬻いで生きていた女性達のことを称する蔑称だ。
米軍相手の売春婦、娼婦。
五大路子が一人で演ずる芝居「横浜ローザ」は、
そんな“パンパン”のメリーさんを通して、
終戦後の日本の、他のどの地域よりも特異な状況におかれた街、
横浜、その戦後史、ひいては日本の昭和史、
などを見事にあぶり出しているのみならず、
人間の哀れさ、愛の尊さ、戦争の愚かさ、
その他、森羅万象全てに通ずる“哀れさ”を見事に演じ、表現している。
たった一人の女優が、たった一人の“パンパン”を演じ、
この世の全てを表現している。
そう、五大路子さんがたった一人でメリーさんを演じたように、
僕もたった一本のギターでバッハのシャコンヌを演奏し、
演じきりたい、
と、強く思った。
そして、『気品とリズムの優雅な調和』も
いつの日にか、
これほどの説得力を持てたら……
投稿者 S-FUKUI : 2007年08月18日 22:06
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